訳もなくオダギリジョーが見たくなって選んだこの作品。
ゲイを演じるオダジョー、素敵でした。
めちゃめちゃ「お父さん嫌い」オーラを放ちながら「メゾン・ド・ヒミコ」で働き始める沙織。
柴崎コウの眉間に思いっきりよった皺。
目つきわっるいです。演技なんでしょうけど。
本当はきれいな女優さんなのに、演技とメイクでこんなにも変わるんですね。
ちなみに、この映画の柴崎コウは「ブスメイク」らしいです。
「ブス」には見えなかったけど、綺麗にも見えず、ごくごく一般の女の人、という感じでした。
元々きれいな人だから、「ブスメイク」をしても「普通」レベルなんですね。きっと。
あと、話し方が。
「あぁ?」って言う時の声といい、表情と言い、「性格ブス」の感じがよく出ていました(笑)
来たばかりの時は、すごく機嫌が悪くてブスブスしています。
ゲイを演じるオダジョーも素敵でしたが、沙織の父である卑弥呼を演じる田中泯も雰囲気ありました。
年老いた男性なのに、こんな色っぽいとは!
一言一言に色気が…。
春彦を惹きつける魅力にも納得です。
そしてゲイの身ながらも、沙織を好きになった春彦。
二人でベッドに向かいますが、女のからだを愛せない春彦に、沙織の「触りたいところないんでしょ?」という台詞がぐさっとつきささります。
その後の春彦の背中がこれ以上なく小さくて、せつないです。
好きになった女性を体で愛せない春彦。ゲイの悲しさ、矛盾。
それに傷ついたのか、その後のけんかで「メゾン・ド・ヒミコ」を飛び出して、別の男性の手の基に落ちる沙織。
別の男性に抱かれたあと、ぐすぐす泣いているシーンで、
「私が泣いている理由は、専務の考えているどれでもありません」とつぶやきます。
抱かれることのできない相手を好きになって、その相手から「ゲイじゃないおまえは関係ないよ」と言われ、
やけになって飛び出した沙織。
元々気になっていた専務は彼女を容易に受け入れてくれます。
性別を超えて愛せない相手を捨てて、まっとうな関係で愛してくれる相手の元に走った罪悪感なのか。
性別という超えられない壁があることへの悔しさなのか。
彼女の泣いている理由が何なのかは、具体的には劇中では描かれません。
卑弥呼の死後、身辺整理を済ました沙織と春彦が、最後の別れをしにバス停へ向かうシーン。
ここもまたせつなかった。。
お互い思いは同じはずなのに。その場で2人は別れてしまいます。
体がつながることがなければ、恋愛は全うすることができないのでしょうか。
この映画は、そんな問いも与えてくれた気がします。
素敵な映画でしたが、少々矛盾に思った点もあります。
ゲイを嫌う娘とゲイの父親の葛藤
ゲイの父親の恋人と娘の恋愛
死にゆく恋人を前にした春彦の苦しみ
・・・これは主要三人の関係。
またさらに、「メゾン・ド・ヒミコ」に住むゲイたちの様子も描かれます。
全身まひのゲイの老人、「ルビィ」を、父がゲイと知らない息子に預ける住人達。
服飾が趣味だけどドレスを着る勇気がないゲイのおじさんの、初めてのクラブデビュー。
主要三人たちの関係を描くのでも2時間かかると思いますが、
さらにホームの住人達の様子まで描いていて、結構一杯一杯になっていた印象がありました。
ルビィ、最後どうなったか描かれないし。
ルビィの件でゲイのエゴを思いっきり批判した沙織の意見に、その答えは描かれません。
せっかくのクラブデビューも、沙織と春彦のキスシーンで、おじさんは存在感なくなっちゃってたし。
描きたい事を盛り込みすぎでしたねえ。
できたら、一人一人の結末をもう少し丁寧に追ってほしかったです。
時間がないのは仕方ないんですけどね。
最後はなんとかハッピーエンドにくくった感じでした。
見ていてハッピーな気持ちになるエンドでしたので、いい気持ちで終われましたが。
とりあえず、オダジョーのぴちっとしたズボンとシャツといういかにもゲイないでたちにもだえてました(^p^)
それぞれ意見は違うとは思いますが、見て損したとは思いませんでした。
面白かったです。
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