ある小学生の一週間。
平日は授業、土曜日は朝から英語塾、午後からピアノ、日曜日は一日ダンスのレッスン。
宿題をする時間が金曜日の夜しかない。
カバンには教科書がぎっしり。
優秀な中学校に通う、ある中学生の毎日。
朝6時半に家を出て、帰宅するのは毎日6時過ぎ。
授業は午前6コマ、午後6コマで一日合計12コマ。
宿題が描く授業から出るので、それを終わらせていると毎日寝るのは11時過ぎ。
時には泣きながら宿題をすることも。
クラブ活動なんて勿論なし。
中国人学生の苦労は小学校から始まっている。
中学校ではなんとか家に帰れていたものの、高校になるとさらに授業が増える。
どうするか?
そう、高校は全寮制なのである。
大学進学率の高い、ある高校に通う高校生の毎日。
毎朝6時起床、6時45分には自習を始め、全ての授業が終わると既に午後10時半を回っている。
一日中少しの遊ぶ時間もなく、実家に帰れるのは3週間に一回だけ。
ちなみに寮と言っても、一部屋に5~8人が寝起きする共同生活である。
今の中国人学生にとって、大事なのは「いい大学に合格すること」。
しかし、山東省の学生は不利な立場に置かれている。
何故か?
【高考終了後の学生たち。長い受験先生生活から解き放たれて狂喜乱舞。お疲れさま。】
中国にもセンター試験のような統一テスト、「高考(gaokao)」がある。
【“高”“高等学校”(大学)、“考”は“招生考试”(入学試験)を指す】
統一テストの内容は全国同じ。
しかし大学に二次試験はなく、「高考」の点数のみで決まってしまうのである。
これがセンター試験と違ってもっとシビアなところ。
「高考」で全ての運命が決まるのだ。
そして、同じ大学に合格するのでも、基準ラインが省ごとに違っているのだ。
例えば、中国の東大的存在、北京精華大学の合格点数。
北京に住んでいれば480点、北京に「戸籍のある」学生の合格率は8%。
山東省に住んでいれば580点、山東省の学生の合格率は0,1%。
センター試験の100点がどんなに重みのあることか、受験生だった方なら分かることだろう。
これが山東省の学生が不利な理由である。
山東省は学生が多く、良い大学が少ない省である。
省ごとに決められる合格点数が、中国でも比較的高いのだという。
また、北京市は北京の学生に有利な政策を取っているため、北京の学生のはかなり得をしているという。
【高考修了のその日、学校にはテスト用紙の白い花が舞う。】
今、「北京や上海、都会のいい大学に合格する為に」戸籍を移す人も増えている。
知り合いの先生も、夫と子供が上海に戸籍を移している為、現在は離れて暮らしているという人がいる。
また北京や上海といった大都会に戸籍を移すのはかなり難しい為、合格点数の低い、人口の少ない省に戸籍を移すこともあるという。
例えば西蔵、青海、新彊…といった、内陸のかなり辺鄙な土地である。
これらの省では合格点数が山東省よりは低いため、良い大学に受かりやすくなるのだ。
これも「いい大学に合格するため」。
山東省の学生は今日も机に向かうのである。
あなたの周りに中国人の友達がいたら、大学受験のエピソードについて尋ねてみるのも面白いかもしれない。
(注:授業で聞いた話や周りの中国人から聞いた話を基に作成しています。
省によって状況が違うでしょうし、数字に関しては的確な情報ではないかもしれません。)
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